ライク株式会社

TCFD提言に基づく開示

当社グループは、2025年4月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明し、TCFDコンソーシアム に加入するとともに、2025年6月よりTCFDのフレームワークに基づいた情報開示を開始しました。ガバナンスを強化するとともに、グループ事業における気候変動が及ぼすリスクと機会を分析することで、情報開示の質および量の充実化に努めます。

ガバナンス

当社グループは、「...planning the Future~人を活かし、未来を創造する~」という理念のもと、持続可能な社会の実現を目指し、気候変動対策を含むサステナビリティ推進の体制強化に取り組んでいます。
環境方針に則り、気候変動をはじめとする環境全般の諸課題に対し、基本方針および重要事項を経営戦略と一体的に推進していくため、取締役による監督とサスティナビリティ担当による管理を中心とするガバナンス体制を構築しています。

気候変動管理体制

サステナビリティ責任者は、持株会社であるライク株式会社で管理本部や財務部門を管轄する取締役が務め、担当部署は同社の管理本部とします。
なお、管理本部の活動については他の重要事項と同様に取締役会による適切な監督のもと運営されており、その審議事項は必要に応じて経営会議や取締役会に付議・報告されます。

戦略

シナリオ分析

当社グループでは、シナリオ分析の実施に際し、サスティナビリティ担当において気候変動に関する重要リスクおよび重要機会の洗い出しと、それらが及ぼす具体的な財務的影響額の評価を行っています。
分析にあたっては2050年までのカーボンニュートラル達成がなされた場合と、地球温暖化が最も深刻化する場合の 2つのシナリオを策定し、それぞれのシナリオに基づいた2030年時点での影響を考察することで、レジリエンス性の強化を図っています。

各シナリオの前提条件

  • ・1.5℃~2.0℃シナリオ
    2050年のカーボンニュートラルの達成水準に向け世界的に脱炭素へ移行が進み、政策規制や市場動向変化が伴うシナリオ
  • ・4.0℃シナリオ
    現状の水準以上の脱炭素に向けた取り組みが行われず、地球温暖化がより深刻化し、異常気象災害の激甚化やそれに伴う適応ニーズの拡大が想定されるシナリオ

参考:IEA WEO2024、IEA WEO2022、環境省

事業へのインパクト評価

シナリオ分析を踏まえた事業への財務的影響については、定性的な分析を行い、2030年時点に想定される収益への影響を項目別に評価を実施しています。特定したリスク及び機会は次の表のとおりです。
分析範囲:ライクグループ全社

重要なリスクと
項目
想定される事象 時間軸 リスク 財務的マイナスの
影響度
当社の取り組み 機会 財務的プラスの
影響度
1.5℃~2.0℃ 4.0℃ 1.5℃~2.0℃ 4.0℃
移行リスク
政策的な規制
炭素税の導入 中期 炭素税導入に伴う、CO2排出コストの発生による支出の増加 〇グループで使用する電力等の再生可能エネルギーへの段階的な転換 〇使用電力の再生可能エネルギーへの転換によるコストの削減と環境負荷低減
GHG排出量等の報告義務化 中期~長期 排出量の調査や算出に伴う、運営コストの増加 〇必要に応じた段階的な開示 - - -
市場変化
エネルギー価格の変化 短期~長期 エネルギー価格の上昇に伴う、光熱費・原材料の輸送費等のコストの増加 〇運営施設の段階的な省エネ設備への転換
〇グループのスケールメリットを活かしたライクプロダクツ社で食材や部品等の調達をまとめて行うことでのコスト削減
〇運営施設の省エネ設備への転換
〇グループのスケールメリットを活かしたライクプロダクツ社での食材・備品等の調達の集約によるコスト削減
評判
株主・投資家、各ステークホルダーからの環境への取組みが不十分とされた場合の評判の変化 中期~長期 株価の不安定化、資金調達コストの増加、取引先の減少 〇TCFDに沿ったGHG排出量、再生可能エネルギーへの転換量などの段階的なHPへの開示
〇エコ・ファースト認定企業としての環境への取り組みやその開示
〇気候変動や環境保護に対する取組みや情報開示を適切に行うことにより、下記の機会を想定しています
①顧客からの評価に繋がり、優先的な取引の獲得
②資本市場からの評価の上昇による、投資先銘柄や指数に選定、安定・長期株主の獲得
物理的リスク
急性的事象
台風や大雨・洪水などの激甚災害の発生 短期~長期 当社グループの運営施設や入居施設の被災により、人的損害・物理的損害、営業停止等の損害の発生や、食材等の原材料費のコストの増加 〇災害時等緊急対応と指揮命令対系統の整備や災害対策連絡網(安否確認連絡)の整備などのBCP対策の推進
〇ライクプロダクツ社での食材、備品等の調達の集約および、施設等での災害発生時用の非常食や非常用備品の保管
- - -
慢性的事象
平均気温の上昇 短期~長期 食材等の原材料費等の高騰や冷房設備の使用増加によるコストの増加、労働環境の悪化による生産性の低下 〇グループのスケールメリットを活かした、ライクプロダクツ社での調達集約によるコスト削減
〇省エネ設備への転換
〇DX化による業務効率の改善施策の推進
〇グループのスケールメリットを活かした、ライクプロダクツ社での調達集約によるコスト削減
〇DX化による業務効率化による生産性の向上
〇運営施設の省エネ設備への転換

時間軸の考え方

長期 10年~
中期 3年~10年
短期 1~3年

影響度の考え方
2024年5月期と2030年5月期の財務数値を比較し、下記の表に則る。

1億円以上
1億円未満
軽微/なし

具体的な戦略及び取り組み

上述のシナリオ分析を踏まえ特定されたリスクと機会を考慮したうえで、当社グループでは戦略統合を開始し、GHG排出量及びエネルギー使用量の削減や効率改善に向けては、以下の取り組みを行っています。

分類 取り組み内容 効果
緩和
[全社]
再エネ100を目指した再生可能エネルギーの導入 化石燃料に依存せず、太陽光・風力などのクリーンエネルギーを利用することで
電力消費に伴うCO₂排出ゼロを目指す。
電子決裁、電子契約、Web給与明細等をグループ全体へ導入 ペーパーレス化の推進により、紙の使用量を削減し、森林伐採を抑制。
印刷や郵送に伴うエネルギー消費やCO₂排出を減少。
残業時間の削減 オフィスの照明や空調の使用時間を短縮し、電力消費を削減。
クールビズ、ウォームビズの推進 冷暖房の使用を抑え、電力消費を削減し、発電時のCO₂排出を減少。
[ライクスタッフィング]
求職者様との面談等についてオンライン化し、移動機会を削減 交通手段の利用を減らし、ガソリンや電気の消費を抑えることでCO₂排出を削減。
[ライクキッズ]
地球温暖化に配慮した建物を選定 断熱性の高い建材を使用し、冷暖房によるエネルギー消費を削減。
間伐材を使用した家具やおもちゃ等、CO₂の排出を最低限にできる設備・備品を選定 森林の健全な成長を促進し、木材の適正利用によるカーボンニュートラルを実現。
連絡帳アプリを導入しペーパーレス化の推進 紙の使用を減らし、森林伐採や製造時のCO₂排出を抑制。
廃食用油を再利用したリサイクル石鹸を認可保育園で導入 水質汚染を抑制しながら資源を有効活用し、園児へ環境教育の機会を提供。
環境問題をテーマにしたイベントや食育の実施 園児へ環境問題を身近に感じてもらえる教育機会を提供。
ご家庭で発生したプラスチック製のごみを回収するBOXを設置し、
子どもの工作や職員の手作りおもちゃへの転用
廃棄プラスチックの削減と資源の再利用による環境負荷の軽減。
[ライクケア]
廃食用油を再利用したリサイクル石鹸を介護施設で導入 水質汚染を防ぎながら廃棄物の有効利用を促進。
適応
ライクケア
ご入居者様によるグリーンカーテンの設置 植物が直射日光を遮り、建物の温度上昇を抑えて冷房負荷を軽減。
施設内での植物や野菜の栽培 局地的なCO₂吸収と生態系の維持に貢献。

リスク管理

気候変動の重要なリスクに関しては、サスティナビリティ担当が、その識別と評価を行っています。また、リスク管理の一環として、社会情勢や市場環境などの情報を収集・分析し、事業に関連するリスクを早期に察知するよう努めています。加えて、リスクが顕在化した際に迅速かつ的確な対策を講じるため、必要に応じてリスクマネジメント委員会を開催しています。さらに、特に大きな影響が予測されるリスクに対しては、関連する委員会が連携し、リスクの未然防止と影響の軽減に向けた施策を検討しています。

指標と目標

また、GHG排出量の削減に向けて、算定対象の見直しや拡充を適宜行います。再生可能エネルギーの活用などの取り組みを通じて、地球規模の共通課題であるカーボンニュートラル社会の実現に向けて取り組んでいきます。

業界団体・イニシアチブ等への
参画・賛同

当社グループは、気候変動に対する取り組みを推進するにあたり、下記の業界団体に参画・賛同しています。

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)
2025年4月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明しました。今後は、気候変動問題への取り組みを事業戦略へさらに反映するとともに、TCFDの提言に基づく情報開示を進めていきます。

再エネ100宣言
当社は、「再エネ100宣言 RE Action」に参加し、使用電力の100%を再生可能エネルギーに 転換することを目指し、具体的な行動を進めています。

業界団体への参画および賛同は、当社の事業目的や注力分野、事業活動との整合性を考慮し、業界団体と当社の考えに大きな乖離がないかを定期的に精査し、乖離が大きい場合には脱退も検討します。